命と音チャリティーコンサートVol.3

「命と音チャリティーコンサートVOL.3」が2008年3月28日、東京都新宿区にある東京オペラシティーコンサートホールにおいて開催された。

命と音チャリティーコンサートは2001年1月26日にJR新大久保駅でホームから酔って落ちた人を助けようとして線路に飛び降て亡くなられた李秀賢さんと日本人カメラマンの方(ご遺族の希望により名前の表記を控えさせていただきます)のことを語り継ぐために企画されたコンサートで、今年で3回目を迎える。李秀賢さんのご両親の李盛大氏と辛潤賛氏も来日し、今回は特別ゲストとしてブルネイ王国初代首相で、ブルネイ・日本友好協会名誉総裁のぺンギラン・ヨソフ殿下も参席された。

壇上で挨拶されるペンギラン・ヨソフ殿下
会場のエントランス(亡くなられた李秀賢さん)
会場のエントランス(石野田五十鈴さんのオブジェ)
李秀賢さんのご両親の李盛大氏と辛潤賛氏

命と音チャリティーコンサートを企画した「ちきゅうじんchikyuujin」は2005年に「CHIKYUUJINコンサート in アジア」を開催した際、ブルネイ王国を訪問し、プリンセス・ラキア邸において身体障害者の子ども達のためのコンサートを行った。その時にコーディネートを手がけた橋本コーポレーションの代表取締役社長の橋本紀子氏の招聘により、今回のペンギラン・ヨソフ殿下の来日が実現した。

ブルネイ王国の剣道部の子どもたち
ペンギラン・ヨソフ殿下

壇上にはペンギラン・ヨソフ殿下とともに来日した、ブルネイ王国の剣道部の子どもたちが上り、日本語であいさつを行った。最近ブルネイ王国では剣道がはやりはじめて、今回来日した子供たちは日本の学校を訪問して交流試合を行っている。ペンギラン・ヨソフ殿下は南方留学生として広島大学に留学した経歴があり、その時に被爆を体験した。李秀賢さんも日本に留学中に運命が変わってしまったが、ペンギラン・ヨソフ殿下もこのときの体験が、平和を追求する原動力となっているという。

メッセージの中で「世界は発展していますが、他人を思いやることの価値を忘れつつあります。与え、要求せず、盗みや略奪のない文化ほど偉大な文化はありません。私はそのすばらしい文化がここにあると信じています。全ての人にとって、助けを必要としている人を助けることは健全な実践です。命と音チャリティーコンサートの成功をアラーの神に祈ります」と語った。

司会の菊池峰子さん
シンガーソングライターのJOHNさん

プロローグとしてシンガーソングライターのJOHNさんが中村里美さん作詞、作曲の「忘れないよ いつまでも」という李秀賢さんのために作った曲をピアノの弾き語りにアレンジして歌い、ハープの弾き語りの田中ゆかさん、ヴァイオリンのジョン・チャヌさん、歌手の中山エミさん、シンセサイザー奏者のキム・シンさん、舞踊家の未河さんが出演してそれぞれの演目を発表した。

ハープの弾き語りの田中ゆかさん
歌手の中山エミさん
ヴァイオリンのジョン・チャヌさん
シンセサイザー奏者のキム・シンさん
舞踊家の未河さん
会場全体(シンセサイザー奏者のキム・シンさん)

会場のエントランスには伊勢草木藤野流の石野田五十鈴家元が大きなオブジェを展示し、李秀賢さんのご両親と、ペンギラン・ヨソフ氏を出迎えた。石野田五十鈴家元は毎年伊勢神宮に作品を奉納しているが、ご自身の出身地である神津島の森林から古木を見つけ出し、コンテナで運んで作品をつくっているという。この日も神津島から運んできた古木で見事な作品を制作した。

コンサートの前日に目黒雅叙園において歓迎会が開催されたが、その舞台上にも石野田家元が作品を制作。命と音チャリティーコンサートの協力団体となった世界平和大使人形の館をつくる会の園田天光光会長が歓迎の辞を述べたが、今年90歳を迎えるとはとても思えない迫力に満ちたスピーチに会場から感動の拍手が送られた。舞台上の古木の年輪を重ねた美しさと園田天光光氏、ペンギラン・ヨソフ氏の持つ高齢者の円熟した輝きが見事にマッチして、会場は世界平和のために決意するオールドパワーの発信源となった。

歓迎会にてペンギラン・ヨソフ氏
世界平和大使人形の館をつくる会の園田天光光会長

園田天光光会長は日本から世界に送ったパスポート付の市松人形の返礼として贈られてきた、世界57カ国からのお人形を展示する館を作るために募金運動を行っている。熊本市の1000坪の土地に、人形の館と子供劇場、子供の合宿所を建設する予定で、全国各地で人形の展示会を行い、「世界の平和は子どもから」をキャッチフレーズに賛同者を募っている。子ども同士の国際交流の場をつくることが大人の責任であり、世界平和の源となると、園田氏は強調した。李秀賢さんの父親の李盛大氏は息子を多くの人々が忘れずにいてくれることに深い感謝の思いを表すとともに、息子の夢を親が実現し、これからも日韓の橋渡しとして交流を続けていくと決意を述べた。

ペンギラン・ヨソフ殿下と上田譽志美氏
と李秀賢さんのご両親
ペンギラン・ヨソフ殿下と
橋本コーポレーション橋本紀子社長
石野田五十鈴さんのオブジェ
ペンギラン・ヨソフ殿下と石野田五十鈴さん

命と音チャリティーコンサートの実行委員長であり、CHIKYUUJINの代表世話人の関西大学文学部教授、上田譽志美氏は様々な分野で世界平和のために活躍する、同じ意志を持つ人々が募ってきたことに感謝しつつ、万歳三唱の音戸をとった。チャリティーコンサートの収益は李秀賢さんのご両親が名誉会長を務めるエル・エス・エイチアジア奨学会と世界平和大使人形の館をつくる会の基金となり、アジアから留学してきた学生達の奨学金、子供たちの合宿所の建設基金となる。「命と音チャリティーコンサートVOL3」は 主催 命と音チャリティーコンサート実行委員会 共催 東京ダルサラーム文化交流会、橋本コーポレーション、NPO法人スティルネス、風音色株式会社  企画 CHIKYUUJIN  後援 エル・エス・エイチアジア奨学会、日韓女性親善協会 協力 世界平和大使人形の館をつくる会 以上の団体によって開催された。